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もし時給1,000円で24時間働き続けたら?残業代・深夜割増・過労死ラインまで徹底解説

もし時給1,000円で24時間働き続けたら?残業代・深夜割増・過労死ラインまで徹底解説

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計ちゃん
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計ちゃん

「時給計ちゃん」運営チーム。アルバイトやパートで働く方に向けて、複雑な給与計算をサポートできるツールの企画と情報発信を行っています。労働基準法などに関する基本的なルールを分かりやすく解説します。

時給1,000円で24時間休まず働いたら、残業代と深夜割増を正しく加算すると合計29,750円になります。しかし「そんな勤務、実際にはどうなの?」という疑問も当然わいてきます。

この記事では、「時給1,000円を例に取って24時間分をシミュレーションしたい人」「残業割増・深夜割増の仕組みをもっとちゃんと理解したい人」「長時間労働のリスクや法律の基準を知りたい人」に向けて、時間帯ごとの計算式から、休憩の義務・36協定の上限・過労死ラインまで順番に整理します。

この記事のポイント

  • 時給1,000円で24時間働いた場合の総額は29,750円(残業割増・深夜割増込み)になる
  • 時間帯によって「通常(×1.0)」「残業のみ(×1.25)」「残業+深夜(×1.5)」と割増率が変わる
  • 現実には休憩義務・36協定・過労死ラインにより、24時間連続労働は法的・健康的に大きな問題がある

時給1,000円で24時間働いたら、総額はいくら?

結論からいうと、時給1,000円で24時間をフルに働いた場合の総額は 29,750円 です。

ただし単純に「1,000円 × 24時間 = 24,000円」ではありません。労働基準法の割増賃金ルールにより、時間帯ごとに適用される割増率が変わるため、それぞれを分けて計算する必要があります。

以下は 9:00 開始を前提とした時間帯別の積み上げです。

時間帯労働時間割増区分時給小計
9:00〜17:008時間通常(×1.0)1,000円8,000円
17:00〜22:005時間残業のみ(×1.25)1,250円6,250円
22:00〜翌5:007時間残業+深夜(×1.5)1,500円10,500円
翌5:00〜翌9:004時間残業のみ(×1.25)1,250円5,000円
合計24時間29,750円

最初の8時間は通常の時給そのまま。9時間目からは1.25倍の残業割増が加わり、22時を過ぎるとさらに深夜割増(0.25倍)が上乗せされて合計1.5倍になります。翌朝5時を過ぎると深夜割増がなくなり、また1.25倍に戻ります。

なお、この計算は「24時間を実際の労働時間として丸ごと数えた場合」の純計算です。実際には法律で休憩時間の付与が義務づけられているため、休憩中は時給は発生しません(詳しくは後述します)。

9:00 開始を前提とした 24 時間の時給割増シミュレーション図
図1: 時間帯ごとの割増率と時給の変化(時給1,000円・9:00開始の場合)

割増賃金の仕組みをおさらい

残業割増(×1.25)とは

労働基準法第37条第1項では、1日8時間または1週40時間を超えて働かせた場合、使用者は通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払わなければならないと定めています。

アルバイトやパートも同じルールの対象です。「アルバイトだから残業代は出ない」という扱いは法律上認められません。

使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

出典: 労働基準法 第37条第1項

残業割増の計算式は次の通りです。

残業割増賃金 = 時給 × 1.25 × 残業時間

なお、1か月の時間外労働が60時間を超えた部分については、割増率が 1.5倍(50%以上) に引き上げられます(労働基準法第37条第1項ただし書き、中小企業も2023年4月から適用)。本記事の24時間シミュレーション(1回あたり残業16時間)はこの上限の範囲内ですが、後述する「月に複数回の24時間勤務」を想定する場合、月の残業累計が60時間を超えた部分は実際には1.5倍で計算される点に注意してください。

深夜割増(×1.25)とは

同法第37条第4項では、22時から翌5時までの「深夜労働」に対して、別途25%以上の割増賃金を支払う義務があります。この割増は残業しているかどうかとは無関係で、「深夜時間帯に働いた」というだけで発生します

深夜割増賃金 = 時給 × 0.25 × 深夜時間(ただし残業との重複時は次の式を使う)

残業+深夜が重なる場合(×1.5)

残業中に22時を過ぎると、残業割増(+25%)と深夜割増(+25%)が加算されて合計50%の割増になります。かけ算ではなく足し算です。

残業+深夜割増賃金 = 時給 × 1.5 × 該当時間

割増率をまとめると以下の通りです。

区分割増率時給1,000円の場合
通常(8時間以内・22時前)×1.01,000円
残業のみ(8時間超・22時前)×1.251,250円
深夜のみ(8時間以内・22時以降)×1.251,250円
残業+深夜(8時間超・22時以降)×1.51,500円

残業割増と深夜割増の基本的な仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

何時に始めても、24時間の合計は変わらない

「開始時刻が深夜寄りなら深夜割増が多く発生して合計が増えるのでは?」と思うかもしれません。ですが実は、24時間フル勤務であれば、開始時刻に関係なく合計は常に29,750円になります

理由はシンプルです。24時間のなかで必ず発生する要素が固定されているからです。

要素時間数割増ボーナス
通常時間(最初の8時間)8時間0円(ボーナスなし)
残業時間(残りの16時間)16時間1,000円 × 0.25 × 16h = 4,000円
深夜時間帯(22:00〜翌5:00)7時間1,000円 × 0.25 × 7h = 1,750円

ベースとなる24時間分の基本賃金(1,000円 × 24h = 24,000円)に、残業ボーナス4,000円と深夜ボーナス1,750円を足すと、24,000 + 4,000 + 1,750 = 29,750円になります。

開始時刻が変わると「残業時間と深夜時間がどれだけ重なるか」は変わりますが、残業時間の合計(16時間)と深夜時間の合計(7時間)はどの開始時刻でも変わりません。そのため合計金額は常に一定になります。

開始時刻が異なる3パターンの時間帯別割増計算の比較
図2: 開始時刻が変わっても24時間の合計金額は変わらない

24時間連続労働は法的に許されるのか?

金額の計算としては成り立ちますが、現実に24時間ノンストップで働かせることは、法律上いくつかの義務・上限に引っかかります。

休憩時間の付与は義務

労働基準法第34条では、労働時間に応じて次の休憩時間を与えることが義務づけられています。

勤務時間必要な休憩時間
6時間超45分以上
8時間超1時間以上

24時間勤務なら少なくとも1時間以上の休憩が必要です。そのため、「純粋な24時間実働」はそもそも法律上成立しません。

使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働の途中に与えなければならない。

出典: 労働基準法 第34条第1項

休憩時間の法定ルールと給与計算への影響については「アルバイトの休憩時間は何分必要?」で詳しく解説しています。

36協定と時間外労働の上限

会社が従業員に時間外労働をさせるには、労働基準法第36条に基づく労使協定(通称「36協定」)を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

36協定があっても時間外労働には法律上の上限があります。

区分上限時間
原則(月)45時間以内
原則(年)360時間以内
特別条項がある場合(月)100時間未満(休日労働含む)
特別条項がある場合(年)720時間以内(休日労働除く)
複数月の平均(特別条項)80時間以内(月平均・休日労働含む)
月45時間超の回数年6回まで

24時間勤務では1回につき16時間の時間外労働が発生します。月に3回あれば48時間、月に5〜6回あれば80〜96時間となり、すぐに原則上限(月45時間)に到達します

法律による時間外労働の上限は、原則として、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。

出典: 厚生労働省「時間外労働の上限規制」

勤務間インターバルの努力義務

2019年施行の「働き方改革関連法」では、前の勤務終了から次の勤務開始まで一定の休息時間(インターバル)を設けることが事業者の努力義務とされています。推奨されるインターバルは11時間です。

連続24時間勤務を行えば、終業後すぐに次の勤務をこなすことは体力的にも法的な趣旨からも困難です。

過労死ラインとは何か?24時間労働との関係

過労死ラインの定義

厚生労働省の定める労災認定基準では、次の条件を「脳・心臓疾患の発症リスクが高まる水準」として定めています。

  • 発症前1か月に おおむね100時間超 の時間外労働
  • または発症前2〜6か月にわたって、1か月当たり おおむね80時間超 の時間外労働

これが「過労死ライン」と呼ばれる基準です。一般的に「過労死ライン=月80時間」と呼ばれるのは、複数月平均で見たときの基準値を指しています。月80時間の時間外労働は、1日4時間弱の残業を毎日(22日勤務換算)続けることに相当します

発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる。

出典: 厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準」

24時間勤務が月に何回あると過労死ラインを超えるか

24時間勤務1回あたり発生する時間外労働は16時間です(法定8時間を超えた分)。

月の24時間勤務回数時間外労働の累計過労死ラインとの比較
1回16時間単月100時間・複数月平均80時間いずれも下回る
3回48時間いずれの基準も下回る(ただし36協定の原則上限45時間は超過)
5回80時間単月100時間は下回るが、毎月続けば「複数月平均80時間超」のラインに到達
6回96時間単月100時間に近づき、複数月平均ラインも明確に超過
7回112時間単月100時間を明確に超過

毎月5回以上の24時間勤務が続けば複数月平均ラインに、月6〜7回以上で単月100時間ラインに到達します。

法的・健康的な問題のまとめ

24時間連続労働には、金額的な魅力以上の代償があります。

  • 休憩義務(最低1時間)を無視した純粋な24時間実働は法律違反
  • 36協定の上限(月45時間)は月3回程度の24時間勤務でも超えるリスクがある
  • 毎月5回以上の継続で複数月平均80時間ライン、月6〜7回で単月100時間ラインに到達する
  • 睡眠不足・判断力低下・事故リスクの増大など健康被害も深刻

「法律で明文禁止されていない=やっていい」ではなく、現実には上記の複数の制限が重なります。

よくある質問

Q休憩時間がある場合、どう計算すればよいですか?
A

実働時間(勤務時間から休憩を除いた時間)を基準に計算します。たとえば24時間のシフトで1時間の休憩があれば、実働23時間として計算します。休憩中は時給が発生しないのが原則です。

Q深夜割増は「残業している人」だけに付くのですか?
A

いいえ。1日8時間以内の勤務でも、22時から翌5時の時間帯に働いていれば深夜割増が発生します。残業割増とは別のルールです。たとえば22時〜翌2時の4時間だけ働いた場合(通算8時間以内)でも、その4時間には25%の深夜割増が付きます。

Qアルバイトにも36協定の上限は適用されますか?
A

はい。アルバイトやパートも労働基準法の対象であり、36協定の上限は同じように適用されます。「アルバイトだから36協定の対象外」という扱いは法律上認められません。

Q24時間勤務をシフトに入れられたのですが、断れますか?
A

36協定の範囲を超える時間外労働は断ることができます。また、休憩時間の付与は会社側の義務であるため、「休憩なしで24時間働くよう求められた」場合は労働基準法違反になる可能性があります。疑問や不安があれば最寄りの労働基準監督署に相談することをおすすめします。

Q過労死ラインを超えた状態で健康被害が出たら、何か保護されますか?
A

時間外労働が過労死ラインを超えた状態で脳・心臓疾患などの健康被害が生じた場合、労災認定を申請できる可能性があります。労災申請は勤め先ではなく労働基準監督署に申請するもので、被災した本人または遺族が請求できます。詳しくは最寄りの労働基準監督署か、厚生労働省「総合労働相談コーナー」にお問い合わせください。

関連記事

本記事は残業割増・深夜割増の「応用・シミュレーション編」です。割増賃金の発生条件や基本的な計算方法、休憩義務のルールについては、以下の記事でより詳しく解説しています。

まとめ

  • 時給1,000円で24時間フル勤務した場合の総額は 29,750円
  • 開始時刻が何時であっても、24時間勤務なら合計は常に同じになる
  • 割増率は「通常×1.0」「残業のみ×1.25」「残業+深夜×1.5」の3段階
  • 現実には休憩義務(8時間超で1時間以上)があり、純粋な24時間実働は法律上成立しない
  • 36協定の上限(月45時間)は月3回程度の24時間勤務で超えるリスクがある
  • 月5回以上を継続すると複数月平均80時間ライン、月6〜7回以上で単月100時間ライン(過労死ライン)に到達する

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