塾講師・家庭教師のバイトは本当に高時給?コマ制・移動・準備を含めた実質時給と稼ぎ方

「時給計ちゃん」運営チーム。アルバイトやパートで働く方に向けて、複雑な給与計算をサポートできるツールの企画と情報発信を行っています。労働基準法などに関する基本的なルールを分かりやすく解説します。
塾講師や家庭教師の求人には、時給1,200円〜3,000円超と書かれているものも珍しくありません。しかし、実際に働いてみると「思ったより稼げなかった」と感じる人が多いのも事実です。その理由は、授業の時間だけに時給がつく「コマ制」の仕組みや、移動・準備にかかる時間が給与に含まれないことにあります。
筆者自身も学生時代に大学受験向けの塾講師と家庭教師の両方を経験しており、この記事で紹介する内容はその実体験にも基づいています。
この記事では、塾講師・家庭教師バイトを検討中の大学生やフリーターの方に向けて、時給相場の実態、コマ制や移動・準備が実質時給に与える影響、そして効率よく稼ぐためのポイントを整理します。
この記事のポイント
- 塾講師・家庭教師の求人時給は高く見えるが、授業外の準備・移動・待機時間は原則無給のため、実質時給は表示より2〜3割以上低くなるケースがある
- 塾講師はコマ制・科目の制約・夕方以降しかコマが入らないという特性があり、1日に稼げる上限が決まりやすい
- 家庭教師は生徒宅間の移動時間が発生し、複数件掛け持ちするほど実質時給が下がりやすい
- 稼ぐには「担当科目を広げる」「授業準備を効率化する」「実績を積んで時給交渉する」などの戦略が有効
- 塾講師・家庭教師バイトの時給相場
- 塾講師の特徴と実質時給を下げる3つの要因
- コマ制の仕組みと待機時間
- 夕方〜夜のみというシフトの制約
- 教えられる科目・学年の制約
- 計算例:実際の実質時給を出してみる
- 家庭教師の特徴と実質時給を下げる要因
- 移動時間が無給になる
- 複数件の掛け持ちで移動時間がかさむ
- 計算例:移動込みの実質時給
- センター経由 vs 直接契約
- オンライン家庭教師という選択肢
- 授業外の準備・自己学習時間の影響
- 実質時給の計算方法と指導形式別の比較
- 稼ぐための5つのポイント
- 1. 担当科目・学年を広げてコマを埋める
- 2. 準備を効率化して実質時給を上げる
- 3. 実績を積んで時給交渉をする
- 4. 移動効率を高める
- 5. センター経由から直接契約・プラットフォームへのシフトを検討する
- よくある質問
- 関連記事
- まとめ
塾講師・家庭教師バイトの時給相場
まず、どのくらいの時給が相場なのかを確認しておきましょう。
指導形式によって相場は大きく変わります。集団塾は1,200〜2,000円程度、個別指導塾は1,100〜1,800円程度が目安です。家庭教師はセンター経由で1,500〜2,500円、生徒と直接契約する場合は2,000〜3,500円以上になることもあります。

担当学年(小学生・中学生・高校生・大学受験)や科目(理数系・英語は高め)、勤務地域によっても相場は変わります。
ここで重要なのは、この時給はあくまで「授業中の時間」に対する金額だという点です。授業の準備にかかった時間や、生徒宅への移動時間は、原則としてこの時給には含まれません。次の節からは、その「見えない時間」が実質時給にどう影響するかを具体的に見ていきます。
※ 時給相場に関する公式統計(政府・公的機関による塾講師・家庭教師バイトの時給調査)は存在しないため、上記の数値は主要求人サイトの掲載情報をもとにした参考目安です。実際の時給は求人先・地域・学年・科目によって異なります。
この節の参考データ
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 — 職種別の賃金水準の把握に使用(塾講師・家庭教師の個別データは非公開のため参考)
塾講師の特徴と実質時給を下げる3つの要因
コマ制の仕組みと待機時間
塾講師の給与は多くの場合「コマ制」です。1コマ=80分や90分に対して時給が発生し、コマとコマの間の空き時間は原則として給与の対象外となります。
たとえば17時〜18時30分(1コマ)と19時〜20時30分(1コマ)の間に30分の空き時間があっても、その30分分の給与はつかないケースがほとんどです。
なお、コマとコマの間の待機が「使用者の指揮下にある手待ち時間」に当たる場合は、労働基準法上の労働時間として扱われる可能性があります。実態については雇用契約書や就業規則で確認しておくと安心です。
夕方〜夜のみというシフトの制約
生徒が学校に通っている平日は、授業が始まるのが下校後の夕方からです。そのため、塾講師のコマが集中するのは16時〜21時前後の時間帯になります。この時間帯に入れるコマ数には自然と上限があり、1日2〜3コマが現実的な目安です。
教えられる科目・学年の制約
集団塾では「担当できる科目・学年」が採用条件に関わります。数学だけ・英語だけといった場合、コマが埋まりにくいことがあります。科目を広げるほどコマを確保しやすくなります。
筆者が経験した大学受験の集団塾では、自信を持って教えられるのが英語と日本史の2科目でした。英語は受験生の需要が多く、コマが安定して入りやすかった一方、日本史を希望する生徒はほとんどおらず、日本史のコマはほぼゼロが続きました。「2科目できる」と思っていても、需要のある科目かどうかで実際の稼ぎは大きく変わります。担当できる科目を増やすことも大切ですが、「需要のある科目を担当できているか」という視点も同じくらい重要です。
計算例:実際の実質時給を出してみる
【条件】
時給:1,500円
週3日勤務・1日2コマ(各90分)
コマ間の待機:30分
授業準備:1コマあたり30分
【受け取る給与】
1,500円 × 1.5時間(90分) × 2コマ × 3日 = 13,500円 / 週
【実際にかかる時間】
(90分 × 2コマ + 30分 × 2コマ + 30分の待機1回) × 3日 ÷ 60 = 13.5時間 / 週
【実質時給】
13,500円 ÷ 13.5時間 = 1,000円
求人時給は1,500円でも、準備・待機を含めると実質1,000円になる計算です。

この節の参考データ
- e-Gov「労働基準法 第32条」 — 労働時間の定義(1日8時間・週40時間)
- 厚生労働省「労働時間の考え方(手待ち時間等)」 — 手待ち時間が労働時間に当たるかの考え方
家庭教師の特徴と実質時給を下げる要因
移動時間が無給になる
家庭教師(訪問型)は、生徒の自宅へ出向いて指導します。この移動時間は原則として給与の対象外で、交通費も全額支給されないケースがあります(全額支給・定額支給・自己負担と、センターによって異なります)。
筆者が担当していた生徒の自宅は、バイクなら片道15分ほどの距離でした。晴れている日はそれほど負担ではありませんでしたが、雨の日はバイクに乗れず、バスと電車を乗り継ぐルートに切り替える必要がありました。乗り継ぎや待ち時間も含めると片道30〜40分かかり、往復では元の倍以上の時間がかかることも珍しくありませんでした。移動手段が限られている場合、天候によって実質的な拘束時間が大きく変わる点は事前に想定しておくと良いでしょう。
複数件の掛け持ちで移動時間がかさむ
収入を増やそうと1日2〜3件を掛け持ちすると、生徒宅間の移動が発生します。生徒の居住エリアが離れていると、往復で1〜2時間のロスが生じることも珍しくありません。
計算例:移動込みの実質時給
【条件】
時給:2,000円
1日2件(各90分)
移動時間:往復合計1.5時間
授業準備:1件あたり30分
【受け取る給与】
2,000円 × 1.5時間 × 2件 = 6,000円
【実際にかかる時間】
授業3時間 + 移動1.5時間 + 準備1時間 = 5.5時間
【実質時給】
6,000円 ÷ 5.5時間 ≒ 1,090円
求人時給2,000円でも、移動・準備込みで見ると実質約1,090円になります。
センター経由 vs 直接契約
家庭教師センター経由は、生徒を紹介してもらいやすい反面、センターへの手数料が引かれるため手取りが下がります。直接契約は手数料がなく時給が高くなりやすいですが、自分で生徒を見つける必要があります。なお、直接契約では個人事業主扱いになる場合があり、その際は労働基準法の適用外となる点も押さえておきましょう。
オンライン家庭教師という選択肢
近年はオンライン指導の需要が増えています。移動時間がゼロになるため、訪問型と比べて実質時給が上がりやすいのが特徴です。
この節の参考データ
- e-Gov「労働基準法 第11条」 — 賃金の定義(移動時間が賃金対象かの判断の前提)
- 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法 特設サイト」 — 直接契約・個人事業主扱いの場合の参考(2024年11月施行)
授業外の準備・自己学習時間の影響
塾講師・家庭教師では、授業中の時間以外にも次のような時間が発生します。
- 教材準備・問題作成:次の授業で使うプリントや問題を用意する時間
- 授業後の振り返り・次回計画:特に受験生対応では「どこまで進んだか」「次は何を教えるか」の整理が必要
- 自分自身の復習・学習:担当学年・科目が高度になるほど、自分でも勉強し直す場面が増える
- 保護者への報告書作成:センター経由の場合は毎回の提出が義務になっていることが多い
準備時間は経験を積むほど短くなります。最初は1コマあたり60〜90分かかっていた準備が、1年後には15〜30分に短縮されるケースも多いです。
逆にいえば、始めたばかりの頃は準備時間が多い分だけ実質時給が低くなりやすいということです。最初から稼ぎを重視するよりも、「慣れながら徐々に効率を上げる」というつもりで臨むと長続きしやすいです。
※ 準備時間の目安に関する公式統計は存在しないため、上記の数値は指導経験および求人・労働実態に関する一般的な情報をもとにした参考目安です。
この節の参考データ
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 — 職種・経験年数別の賃金水準の参考として確認
実質時給の計算方法と指導形式別の比較
求人時給と実質時給の差を把握するには、次の計算式が使えます。
実質時給 = 受け取る給与合計 ÷(授業時間 + 移動時間 + 準備時間 + 待機時間)
以下の表は、指導形式ごとの実質時給の目安を比較したものです。
※ 数値はあくまで目安です。科目・学年・移動距離・個人の準備効率によって大きく異なります。

この節の参考データ
- 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」 — 賃金水準の参考として確認
稼ぐための5つのポイント
「実質時給が下がりやすいなら、どうすれば稼げるのか?」という疑問に答える形で、収入を増やすための具体的なポイントを整理します。
1. 担当科目・学年を広げてコマを埋める
1科目・1学年だけに絞ると、コマが埋まらない時間帯が出やすくなります。数学と理科、英語と国語のように複数の科目を担当できると、コマの融通がきくようになります。特に理数系・英語は時給が高めに設定されやすく、指導できると採用時の評価も上がります。
2. 準備を効率化して実質時給を上げる
最初から完璧な準備をしようとすると時間がかかりすぎます。市販の問題集や塾が用意している教材をうまく活用し、準備時間を短縮することが実質時給アップの近道です。指導した内容をメモとして蓄積しておくと、同じような生徒の指導に再利用できます。
3. 実績を積んで時給交渉をする
センターに登録している場合、指導実績が増えると更新時に時給の見直しを交渉できるケースがあります。「○人の生徒を指導し、定期テストで○点アップした」など具体的な成果を伝えると交渉しやすくなります。
4. 移動効率を高める
家庭教師の場合、同じ沿線や近いエリアの生徒をまとめて担当すると移動時間のロスが減ります。また、訪問型とオンライン型を組み合わせることで、移動の少ない日と多い日のバランスを調整するのも有効です。
5. センター経由から直接契約・プラットフォームへのシフトを検討する
センターへの手数料がなくなると、同じ授業時間でも手取りが増えます。ただし、直接契約は生徒募集・スケジュール管理・報告書作成などをすべて自分で行う必要があります。まずセンターで実績を積み、慣れてきたら直接契約や家庭教師マッチングサービスへの移行を検討するのが現実的なステップです。
この節の参考データ
- 厚生労働省「労働条件に関する総合情報サイト」 — 賃金交渉・労働条件の基礎知識
よくある質問
塾によって扱いが異なります。使用者(塾)の指揮命令下にある「手待ち時間」は、労働基準法上の労働時間に該当しうると解されています。一方、自由に外出できる休憩時間として扱われている場合は労働時間に含まれないことがあります。入塾前に雇用契約書や就業規則を確認し、待機時間の扱いを明確にしておきましょう。
センターによって異なります。「実費全額支給」「月額定額支給」「自己負担」の3パターンがあります。交通費が自己負担の場合、移動コストも実質時給に影響するため、契約前に必ず確認してください。
求人時給だけ見ると家庭教師(特に直接契約)が高くなりやすいですが、移動・準備の手間も大きいです。一方、個別指導塾はコマが安定して埋まりやすく、準備も比較的少なめで、安定した収入を得やすいケースがあります。「とにかく高時給を狙いたい」なら家庭教師の直接契約、「安定して稼ぎたい」なら個別指導塾が向いているといえるでしょう。
得意科目があり、教えることが好きな人に向いています。また、夕方〜夜のシフトに入れることが条件になりやすいため、平日の夕方以降に時間が取れる大学生やフリーターに特に多い働き方です。複数の科目を担当できると、コマが埋まりやすくなります。
最も手軽なのは家庭教師センターへの登録です。センターが生徒とのマッチングを行ってくれるため、自分で探す手間がありません。慣れてきたら、大学の掲示板・SNS・知人の紹介を通じた直接契約に移行するケースも多いです。
この節の参考データ
- e-Gov「労働基準法 第32条」 — 労働時間の定義(手待ち時間の判断の前提となる条文)
関連記事
塾講師・家庭教師バイトで月収の目安を立てたい方は、時給と勤務時間から月収を逆算できる記事も参考にしてください。また、求人時給が最低賃金を下回っていないかの確認方法や、深夜シフトの割増計算もあわせて押さえておくと安心です。
まとめ
この記事のポイントをあらためて整理します。
- 塾講師・家庭教師の求人時給は1,200〜3,500円超と幅広く、担当学年・科目・指導形式によって大きく変わる
- 求人時給は「授業中のみ」の金額で、準備・移動・待機は原則無給。これを加味した実質時給は表示の6〜8割程度になるケースも多い
- 塾講師は夕方〜夜のコマに限られ、1日に稼げるコマ数に上限がある。科目・学年の幅を広げることがコマ確保の鍵
- 家庭教師は移動時間が実質時給を下げる大きな要因。オンライン型や同エリアへの集中で改善できる
- 経験を積んで準備を効率化すること、実績を積んで時給交渉することが、長期的に稼ぐための現実的な方法
塾講師・家庭教師バイトは、条件を正しく理解したうえで選べば、大学生のアルバイトの中でも収入を上げやすい選択肢のひとつです。求人時給の数字だけで判断せず、「実質時給はいくらになるか」を事前に計算してみてください。
参考データ一覧
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 — 職種別・経験年数別賃金水準の参考
- 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」 — 最新年度の賃金水準の参考
- e-Gov「労働基準法 第32条」 — 労働時間の定義
- e-Gov「労働基準法 第11条」 — 賃金の定義
- 厚生労働省「労働時間の考え方(手待ち時間等)」 — 手待ち時間が労働時間に当たるかの考え方
- 厚生労働省「労働条件に関する総合情報サイト」 — 賃金交渉・労働条件の基礎知識
- 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法 特設サイト」 — 直接契約・個人事業主扱いの場合の参考(2024年11月施行)
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