パートで週40時間を超えたらどうなる?残業代の計算と働き方の注意点

「時給計ちゃん」運営チーム。アルバイトやパートで働く方に向けて、複雑な給与計算をサポートできるツールの企画と情報発信を行っています。労働基準法などに関する基本的なルールを分かりやすく解説します。
「毎日7時間しか働いていないから残業じゃない」と思っていたら、実はその週に6日勤務していて残業代を受け取れていなかった、というケースは珍しくありません。この記事では、週40時間超の残業代が発生する条件と計算方法を、シフト例を使って分かりやすく解説します。
この記事のポイント
- 1日8時間未満でも、週の合計が40時間を超えた分は時給の1.25倍以上の残業代が発生する
- 残業カウントは「その週に40時間を超えた時点」から始まり、シフトが増えるほど影響が大きくなる
- 週40時間に近い働き方は、社会保険の加入条件や扶養の壁とも関係するため合わせて確認が必要
週40時間を超えると何が変わる?
パートやアルバイトが週40時間を超えて働いた分には、会社は残業代を支払わなければなりません。これは雇用形態に関係なく、正社員と同じ法律のルールが適用されます。
労働基準法第32条では、1週間に40時間、1日に8時間を超えて働かせてはならないと定められています。
使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
出典: 労働基準法 第32条
この基準を超えた分が「時間外労働」となり、25%以上の割増賃金(残業代)が必要になります(労働基準法第37条)。

残業代の判定には「日単位」と「週単位」の2つがあり、それぞれ独立して判定されます。
- 日単位の判定: 1日8時間を超えた分は、その日の残業として割増になる
- 週単位の判定: 1週間の合計が40時間を超えた分は、週の残業として割増になる
毎日7時間勤務でも週6日働けば週42時間になり、超えた2時間分の残業代が発生します。1日8時間を超えていなくても、週合計が40時間を超えれば残業代の対象になるのです。
この節の参考データ
- e-Gov「労働基準法 第32条」 — 法定労働時間(1日8時間・週40時間)の原則規定
- e-Gov「労働基準法 第37条」 — 時間外・深夜・休日の割増賃金規定
どのシフトで週40時間を超えるのか?
「1日8時間を超えていないから残業にはならない」という思い込みは、日単位の話しか見ていません。週単位では、1日の勤務が8時間以内でも合計が40時間を超えると残業になります。
よくあるシフトパターンを表で確認しましょう。
表の最後の行に注目してください。週5日フルタイム(8時間×5日=40時間)をこなした後に土曜日に出勤した場合、その日の勤務時間はたとえ1時間でも、1時間目から全時間が「週単位の残業」になります。土曜日の1日だけを見ると8時間以内なので日単位の残業は発生しませんが、週の累計はすでに40時間を超えているため、出勤した時点から残業カウントが始まっています。
また、週の起算日(何曜日から1週間を数えるか)は就業規則で定められている場合があります。就業規則に定めがない場合は、日曜日始まりが原則です。シフトが月をまたぐ週は、週の数え方が残業の判定に影響することがあるので確認しておきましょう。
この節の参考データ
- 厚生労働省「昭和63年基発第1号(改正労働基準法の施行について)」 — 週の起算日の原則(就業規則に別段の定めがなければ日曜〜土曜の暦週)
残業代はいくら増える?計算方法と具体例
基本の計算式
週40時間を超えた分の残業代は、次の計算式で求めます。
残業代 = 時給 × 1.25 × 残業時間
22時以降にその残業時間がかかる場合は、深夜割増も重なります。深夜割増の詳しい計算方法については「深夜バイトの時給はどう計算する?」で解説しています。
深夜残業代(深夜割増込み)= 時給 × 1.5 × 該当時間
割増率を区分ごとにまとめると次のとおりです。
ケース1:時給1,100円・1日7時間×6日(週42時間)
通常分(40時間): 1,100円 × 40時間 = 44,000円
残業分(2時間): 1,100円 × 1.25 × 2時間 = 2,750円
週の合計: 46,750円
残業代なしで計算した場合(42時間×1,100円 = 46,200円)と比べると、差額は550円です。週4回このペースで働くと、月約2,200円の差が生じます。
ケース2:時給1,200円・1日6時間×7日(週42時間)
通常分(40時間): 1,200円 × 40時間 = 48,000円
残業分(2時間): 1,200円 × 1.25 × 2時間 = 3,000円
週の合計: 51,000円
日単位と週単位の意味合いは同じ
「1日8時間超」で発生する残業代と「週40時間超」で発生する残業代は、どちらも労働基準法第37条が根拠となる「時間外労働の割増賃金」です。発生する理由(日単位か週単位か)が違っても、割増率はどちらも1.25倍以上で同じです。読者が「どちらが得か」を考える必要はなく、条件を超えた時間にはどちらのルールでも同額の残業代が発生すると理解してください。
日単位と週単位が重なる場合の相殺
「1日9時間×5日 = 45時間」のケースを具体的に整理します。
各日の日単位残業: 1時間 × 5日 = 5時間(1.25倍)
週合計: 45時間 → 週40時間超の超過分: 5時間
この5時間(週超過分)と5時間(日単位残業の合計)は同じ時間です。日単位の残業として処理した時間が、そのまま週単位の超過分と重なっています。二重に割増になるわけではなく、1時間に対して1.25倍が1回だけ適用されます。
時給1,000円の場合の計算例:
通常分(40時間): 1,000円 × 40時間 = 40,000円
残業分(5時間): 1,000円 × 1.25 × 5時間 = 6,250円
週の合計: 46,250円
もし二重カウントが許されるなら残業代は10時間分になるはずですが、実際は5時間分です。「日単位でも週単位でも残業になる時間」は、どちらか一方として1回だけ割増計算します。
この節の参考データ
- e-Gov「労働基準法 第37条」 — 割増賃金の種類と割増率の根拠規定
週40時間前後の働き方で注意すること
社会保険の加入条件と交差する
週40時間に近い働き方をしていると、社会保険の加入条件と関係してくる場合があります。従業員51人以上の事業所(2024年10月時点・特定適用事業所)では、次の条件をすべて満たすと厚生年金・健康保険への加入が必要になります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)
- 勤務期間が2か月を超える見込みがある
- 学生でない
※ なお、月額賃金要件(8.8万円)は令和8年(2026年)10月に撤廃される予定です(全国の最低賃金が1,016円以上となる状況を踏まえた判断)。また企業規模要件(51人以上)も10年かけて段階的に縮小・撤廃される予定(2027年10月以降は36人以上、2029年10月以降は21人以上が対象など)です。最新の情報は厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」でご確認ください。
週40時間前後で働いていると週20時間超はすでに満たしているため、月額賃金が8.8万円を超えるかどうかが社会保険加入の境目になりやすいです。残業代が増えて月収が上がると、意図せず加入義務が生じることがあります。
なお、従業員50人以下の小規模事業所(個人経営の飲食店やコンビニなど)は現時点では適用拡大の対象外となるケースがあります。自分の職場の規模が不明な場合は、会社の人事担当または年金事務所に確認するのが確実です。
扶養・年収の壁との関係
週40時間前後のシフトは、年収が所得税や社会保険の基準に近づきやすい水準です。ただし、いわゆる「年収の壁」は近年大きく変わっており、2026年4月時点では次の状況です。
- 所得税の非課税ライン: 令和7年度税制改正で基礎控除と給与所得控除が引き上げられ、従来の「103万円の壁」は実質的に約160万円まで拡大されました(合計所得金額132万円以下の場合、基礎控除95万円+給与所得控除65万円)
- 社会保険の106万円の壁: 月額賃金8.8万円以上で加入となる要件は現行では有効。ただし令和8年(2026年)10月に撤廃される予定(最低賃金の状況を踏まえた判断)
- 社会保険の扶養(130万円): 金額は変わらないが、判定方法が柔軟化され、事業主の証明があれば連続2回まで一時的な超過でも扶養継続が可能
残業代が増えると月収が上がり、各種の壁に近づく可能性があるため、月ごとの収入を確認しながらシフトを調整するのが安全です。時給と勤務時間から月収を逆算して扶養ラインとの距離を確認したい方は「月収10万円・15万円を稼ぐには何時間必要?」も参考にしてください。各制度は頻繁に見直しが入るため、最新情報は国税庁・厚生労働省の公式サイトで確認してください。
この節の参考データ
- 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」 — パート・アルバイトの社会保険加入条件の詳細
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」 — 月額賃金要件・企業規模要件の撤廃スケジュール
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し」 — 基礎控除・給与所得控除の改正内容
- 厚生労働省「年収の壁への対応」 — 130万円の壁の判定方法の柔軟化
給与明細で確認する方法
週40時間を超えた残業代が正しく支払われているか、給与明細で確認する手順は次のとおりです。
- 自分のシフト記録から、週ごとの合計労働時間を計算する
- 週40時間を超えた時間(残業時間)を特定する
- 給与明細の「時間外手当」または「残業代」の欄と金額を照合する
- 「時給 × 1.25 × 残業時間」で自分でも計算し、一致するか確認する
給与明細には週単位の集計が表示されないことが多いため、シフト記録をスクリーンショットや手帳で手元に残しておくと照合がスムーズです。
もし残業代が支払われていない、または少ないと気づいた場合は、まず会社(店長や人事担当)に確認しましょう。解決しない場合は、各都道府県の労働基準監督署(無料)または総合労働相談コーナーに相談できます。

週40時間超えや深夜割増も含めて、時給計ちゃんならまとめて計算できます。給与明細と照らし合わせてみてください。
この節の参考データ
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 — 残業代未払いなど労働問題の無料相談窓口
よくある質問
出ます。1日8時間以内でも、週の合計が40時間を超えた分は残業代の対象です。日単位(1日8時間超)と週単位(週40時間超)はそれぞれ独立して判定されるため、どちらか一方だけを確認するのでは不十分です。
会社(上司や店長)が認知・承認しているシフト超えであれば対象になります。また、明示的に許可していなくても、会社が黙認している状態は「使用者の指揮命令下に置かれた時間」として扱われる可能性があります(出典: 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)。いずれの場合も、シフト記録を手元に残しておくことが重要です。
その週の合計時間に含めて計算します。何曜日が週の始まりかは就業規則を確認し、その週内の合計労働時間が40時間を超えた分が残業の対象になります。週の途中でのシフト追加は残業ラインを超えやすいため、事前に週合計を確認しておきましょう。
週40時間を超えることが直接の社会保険加入条件ではありません。加入条件は「週の所定労働時間が20時間以上」「月額賃金が8.8万円以上」などで判断します。ただし週40時間前後になると月収が8.8万円を超えやすくなるため、加入義務が生じる可能性があります。
まず給与明細と自分のシフト記録を照合してください。差異がある場合は会社に確認し、解決しない場合は労働基準監督署(無料)または総合労働相談コーナーに相談できます。相談は匿名でも可能です。
この節の参考データ
- e-Gov「労働基準法 第32条」 — 法定労働時間の原則(日・週の上限)
- e-Gov「労働基準法 第37条」 — 割増賃金の支払い義務
- 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」 — パート・アルバイトの社会保険加入条件
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」 — 指揮命令下の時間と黙認労働時間の扱い
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まとめ
- 1日8時間未満のシフトでも、週の合計が40時間を超えた分は時給の1.25倍以上の残業代が発生する
- どのシフトパターンで超えるかは早見表で確認できる(例: 1日7時間×6日 = 週42時間、残業2時間)
- 残業が22時以降に及ぶ場合は深夜割増が重なり、1.5倍以上の割増になる
- 週40時間前後の勤務は社会保険の加入条件や扶養の壁と交差しやすいため、月ごとの収入を確認しながら働くことが大切
- 給与明細はシフト記録と照合して確認し、差異があれば会社または労働基準監督署に相談する
参考データ一覧
- e-Gov「労働基準法 第32条」 — 法定労働時間(1日8時間・週40時間)の原則規定
- e-Gov「労働基準法 第37条」 — 時間外・深夜・休日の割増賃金規定
- 厚生労働省「昭和63年基発第1号(改正労働基準法の施行について)」 — 週の起算日の原則(就業規則に別段の定めがなければ日曜〜土曜の暦週)
- 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」 — パート・アルバイトの社会保険加入条件の詳細
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」 — 月額賃金要件・企業規模要件の撤廃スケジュール
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し」 — 基礎控除・給与所得控除の改正内容
- 厚生労働省「年収の壁への対応」 — 130万円の壁の判定方法の柔軟化
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 — 残業代未払いなど労働問題の無料相談窓口
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」 — 指揮命令下の時間と黙認労働時間の扱い
時給計ちゃんで、週40時間超えや深夜割増も含めた残業代をかんたんにチェックできます。