パートで休んだら給料はどう引かれる?欠勤控除の基本を解説

「時給計ちゃん」運営チーム。アルバイトやパートで働く方に向けて、複雑な給与計算をサポートできるツールの企画と情報発信を行っています。労働基準法などに関する基本的なルールを分かりやすく解説します。
パートやアルバイトで働いていて、体調不良や急な用事でシフトを休んだとき、「給料はどのくらい減るんだろう」と不安になったことはないでしょうか。「欠勤控除」という言葉を耳にすると、罰金やペナルティのように感じてしまうかもしれません。
筆者自身、学生時代にコンビニのアルバイトで体調を崩して2日ほど休んだとき、「欠勤分が引かれます」と言われて妙にドキッとした記憶があります。ただ、あとから振り返ると、時給制のアルバイトで起きていたのは単に「働かなかった時間分の時給が支給されなかった」というだけのことでした。時給制パートの場合、欠勤で給料が減る仕組みは実はとてもシンプルです。
この記事では、欠勤や遅刻・早退で給料がいくら減るか気になるパート・アルバイトの方に向けて、時給制と月給制それぞれの給料の減り方、有給休暇への振り替え、給与明細での確認方法までをまとめて解説します。
この記事のポイント
- 時給制パートの欠勤は「働かなかった時間分がそのまま支給されない」だけで、特別な控除計算は不要
- 月給制パートの欠勤控除は「月給 ÷ 所定労働日数(または時間数) × 欠勤日数(時間数)」で計算される
- 有給休暇が残っていれば欠勤を有給に振り替えることで、給料を減らさずに休める
欠勤控除とは?「ノーワーク・ノーペイ」の基本
まず、「欠勤控除」とはそもそも何かを整理しましょう。
欠勤控除とは、労働契約で決められた所定労働時間に働かなかった分の賃金を差し引くことです。根拠になっているのは「ノーワーク・ノーペイの原則」と呼ばれる考え方で、簡単にいえば「働いていない時間の分は、賃金を請求する権利が生じない」ということです。
ここで大切なのは、欠勤控除は罰金やペナルティではないという点です。あくまで「働かなかった分を精算しているだけ」であり、欠勤したこと自体に対するお金の罰則ではありません。
一方で、会社が「無断欠勤したから罰金として○円引く」というように、懲戒処分としてお金を減らす場合があります。これは「減給制裁」と呼ばれ、欠勤控除とはまったく別の仕組みです。減給制裁には労働基準法第91条で厳しい上限が設けられています。
「休んだらいくら引かれるのか」と不安になったとき、まず確認してほしいのは「それが欠勤控除なのか、それとも減給制裁なのか」です。通常のシフト欠勤で引かれる金額は欠勤控除にあたり、働かなかった時間分を超えて引かれることは本来ありません。
この節の参考データ
- e-Gov「民法 第624条」 — 報酬の支払時期(ノーワーク・ノーペイの原則の根拠)
- e-Gov「労働基準法 第91条」 — 減給制裁の上限規定(1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えない、総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えない)
時給制パートの場合——欠勤するといくら減る?
ここからは、パート・アルバイトで最も多い時給制の場合を見ていきましょう。
時給制は「働いた時間 × 時給」で給与が決まります。つまり、休んだ分はそもそも支給の対象にならないため、月給制のように「月給から差し引く」という意味での欠勤控除は発生しません。
時給制パートが欠勤したときに起こるのは、「その日の予定シフト時間分の収入がなくなる」、ただそれだけです。難しい計算式は必要ありません。「シフトに入っていた時間 × 時給」の金額が、その月の給料から減ることになります。遅刻や早退の場合も同じで、実際に働いた時間分だけが支給対象です。
1日欠勤した場合
たとえば、時給1,100円で1日5時間のシフトに入っていた場合、欠勤するとその日の収入はゼロになります。
通常の1日分の収入: 1,100円 × 5時間 = 5,500円
欠勤した日の収入: 0円
→ 差額: −5,500円
遅刻・早退した場合
遅刻や早退も、実際に働いた時間分だけが支給されるという点は同じです。
遅刻30分の場合(5時間シフト):
実働時間: 5時間 − 0.5時間 = 4.5時間
支給額: 1,100円 × 4.5時間 = 4,950円
→ 通常より550円の減少
早退1時間の場合(5時間シフト):
実働時間: 5時間 − 1時間 = 4時間
支給額: 1,100円 × 4時間 = 4,400円
→ 通常より1,100円の減少
月単位で見るとどのくらい影響がある?
1回の欠勤や遅刻は小さく感じるかもしれませんが、月単位で積み重なると意外に大きな差になります。時給別に、1か月あたりの影響を早見表にまとめました(シフトは1日5時間を想定)。
たとえば時給1,100円で月2日休むと、それだけで月収が11,000円減る計算です。手取りへの影響の全体像を知りたい方は「時給から手取りはいくら?パート・アルバイトの手取り額の考え方」も参考にしてみてください。
遅刻の端数はどう扱われる?
ここで注意したいのが、遅刻の端数の扱いです。
労働時間は原則として1分単位で計算するのが基本です。しかし、職場によっては「15分単位」や「30分単位」で切り上げて控除しているケースがあります。たとえば「遅刻5分でも15分ぶん引かれる」「遅刻10分で30分ぶん引かれる」といった運用です。
このような端数の切り上げは、実際に働いた時間分の賃金を支払っていないことになるため、賃金全額払いの原則(労働基準法第24条)に反するおそれがあります。もし自分の職場でこうした運用がされていると感じたら、まずは就業規則を確認してみてください。
ただし、割増賃金の計算において、1か月の時間外労働・休日労働・深夜業の各時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨て・30分以上を1時間に切り上げる処理は、行政通達(昭和63年3月14日基発第150号)で認められています。日々の勤務ごとの端数切り捨てと、月合計での端数処理では扱いが異なる点に注意が必要です。

この節の参考データ
- e-Gov「労働基準法 第24条」 — 賃金全額払いの原則の根拠条文
- 愛知労働局「賃金の端数の取扱いについて」 — 昭和63年3月14日基発第150号(割増賃金計算における端数処理の根拠通達)
月給制パートの場合——欠勤控除の計算式と具体例
パートでも、毎月決まった金額の月給が支払われる契約で働いているケースがあります。月給制の場合は、時給制と違って「月給から欠勤分を差し引く」計算が必要になります。これがいわゆる「欠勤控除」の計算です。
日単位の欠勤控除
月給制で1日まるごと欠勤した場合の控除額は、次の式で計算されます。
控除額 = 月給 ÷ 1か月の所定労働日数 × 欠勤日数
具体例で見てみましょう。月給15万円、所定労働日数が月20日の場合、1日あたりの単価と控除額は次のようになります。
1日あたりの単価: 150,000円 ÷ 20日 = 7,500円
1日欠勤の控除額: 7,500円 × 1日 = 7,500円
→ その月の支給額: 150,000円 − 7,500円 = 142,500円
2日欠勤した場合は次の通りです。
2日欠勤の控除額: 7,500円 × 2日 = 15,000円
→ その月の支給額: 150,000円 − 15,000円 = 135,000円
時間単位の控除(遅刻・早退の場合)
遅刻や早退の場合は、時間単位で按分して計算します。
1時間あたりの単価 = 月給 ÷ 1か月の所定労働日数 ÷ 1日の所定労働時間
控除額 = 1時間あたりの単価 × 欠勤した時間数
同じく月給15万円、所定労働日数20日、1日の所定労働時間が6時間の場合を見てみましょう。
1時間あたりの単価: 150,000円 ÷ 20日 ÷ 6時間 = 1,250円
遅刻1時間の控除額: 1,250円 × 1時間 = 1,250円
→ その月の支給額: 150,000円 − 1,250円 = 148,750円
2日欠勤 + 遅刻30分が重なった月では、次のような計算になります。
控除額: 7,500円 × 2日 + 1,250円 × 0.5時間 = 15,625円
→ その月の支給額: 150,000円 − 15,625円 = 134,375円
所定労働日数の取り方に注意
月給制の欠勤控除で特に注意が必要なのは、「1か月の所定労働日数」の取り方です。会社によって次のようなパターンがあり、どれを採用するかで控除額が変わります。
年間平均を使う方が月ごとの控除額が安定しますが、どちらを採用するかは就業規則で決まっています。自分の控除額が正しいか確認する場合は、まず就業規則の規定を確認してみてください。
この節の参考データ
- e-Gov「労働基準法 第24条」 — 賃金全額払いの原則(欠勤控除はこの原則の例外として認められている)
有給休暇が使えるなら給料は減らない
ここまで欠勤で給料が減る仕組みを見てきましたが、実は給料を減らさずに休める方法があります。それが有給休暇の活用です。
有給休暇を使って休んだ場合は、欠勤扱いにはならず、休んだ日の分も賃金が支払われます。時給制の場合は通常の1日分(時給 × 所定労働時間)が支給され、月給制の場合はそもそも月給が減りません。
具体例で比較してみましょう。時給1,100円、1日5時間シフトで1日休む場合です。
差額は5,500円です。有給が使えるかどうかで、手取りに直接影響します。
有給休暇が使える条件
有給休暇は、次の2つの条件を両方満たすと発生します。
- 同じ職場に6か月以上継続して勤務していること
- その期間の全労働日の80%以上に出勤していること
アルバイトやパートでも、雇用形態に関係なくこの条件を満たせば有給は発生します。週の勤務日数によって付与される日数は変わりますが、権利そのものはフルタイムと同じです。有給の条件や付与日数について詳しく知りたい方は「アルバイトでも有給休暇は取れる?付与される日数・条件・申請のしかたをわかりやすく解説」を参考にしてください。
当日でも有給に変えてもらえる?
有給休暇は事前に申請するのが原則ですが、当日の体調不良などやむを得ない場合でも、会社の判断で事後的に有給として認めてもらえるケースがあります。就業規則で「当日申請可」「事後振替可」と定められている職場もあるので、まずは確認してみましょう。
ただし、会社には事後申請を認める法的義務はありません。「有給があるから大丈夫」と過信せず、可能な限り早めに連絡・相談するのが円滑な運用のポイントです。
有給が残っていない場合
有給が残っていない、またはまだ発生していない(入社6か月未満など)場合は、原則として欠勤扱いになります。このとき、前の節で説明した通り、時給制なら「休んだ時間分の収入がなくなる」、月給制なら「控除計算で差し引かれる」という処理になります。
この節の参考データ
- e-Gov「労働基準法 第39条」 — 年次有給休暇の付与条件(6か月継続勤務・出勤率80%以上)の根拠条文
給与明細で欠勤控除を確認する方法
欠勤や遅刻・早退をした月は、給与明細を見て「正しく計算されているか」を確認しておくと安心です。時給制と月給制で確認のポイントが少し異なります。
時給制の場合
時給制の場合、欠勤控除という項目が明細に独立して表示されることは多くありません。確認すべきなのは、勤怠欄の「総労働時間(実働時間)」が正しいかどうかです。
チェックリスト:
- 勤怠欄の総労働時間が、シフト表やタイムカードの記録と一致しているか
- 欠勤した日のシフト時間が、総労働時間から正しく除かれているか
- 遅刻・早退があった場合、その分の時間が正確に反映されているか
- 支給欄の基本給が「時給 × 総労働時間」と一致しているか
たとえば、時給1,100円で月80時間働く予定だったが、1日5時間のシフトを1日欠勤した場合、総労働時間は75時間になるはずです。
支給額の確認: 1,100円 × 75時間 = 82,500円
(欠勤なしの場合: 1,100円 × 80時間 = 88,000円)
支給欄に82,500円と記載されていれば正しい計算です。
月給制の場合
月給制の場合は、明細の支給欄または控除欄に「欠勤控除」「不就労控除」などの項目が表示されることがあります。
チェックリスト:
- 勤怠欄の欠勤日数・遅刻回数・早退回数が実態と一致しているか
- 控除額が「月給 ÷ 所定労働日数 × 欠勤日数」の計算と合っているか
- 遅刻・早退の控除額が時間単位で正しく按分されているか
- 欠勤控除とは別に、身に覚えのない「減給」項目がないか
給与明細の見方全般について詳しく知りたい方は「パート・アルバイトの給与明細の見方は?見るべき項目を丸ごと解説」もあわせて確認してみてください。
明細がおかしいと感じたら
計算が合わない、働いた時間分以上に引かれている気がする、と感じた場合は、まず会社の給与担当や上司に確認しましょう。それでも解決しない場合は、次の窓口に相談できます。
- 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局に設置・予約不要・無料)
- 労働基準監督署(賃金未払いなど法違反のおそれがある場合)

この節の参考データ
- 厚生労働省「総合労働相談コーナー」 — 労働条件に関する無料相談窓口(予約不要)
よくある質問
通常はありません。時給制は実働時間で支給額が決まるため、「控除」として独立した項目が表示されるのではなく、勤務時間そのものが減ることで給与に反映されます。ただし、給与計算ソフトの仕様によっては「欠勤控除」や「不就労控除」として表示されるケースもあります。その場合でも、引かれている金額が「休んだ時間 × 時給」と一致していれば、計算としては正しい処理です。
原則として、労働時間は1分単位で計算するのが基本です。15分の遅刻に対して30分ぶんを控除する運用は、実際に働いた15分ぶんの賃金を支払っていないことになり、賃金全額払いの原則(労働基準法第24条)に反するおそれがあります。まずは就業規則を確認し、疑問がある場合は労働基準監督署に相談できます。
欠勤控除(ノーワーク・ノーペイによる賃金精算)とは別に、就業規則で「減給制裁」が定められている場合があります。ただし、減給制裁には法律上の上限があり、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えないこと、総額がその月の賃金総額の10分の1を超えないことが労働基準法第91条で決められています。通常の体調不良による欠勤で減給制裁まで行われるケースはあまり一般的ではありませんが、無断欠勤が続いた場合などに適用されることがあります。
なりません。欠勤とは「労働義務がある日(シフトが確定している日)に休むこと」です。もともとシフトが入っていなければ公休扱いであり、欠勤控除の対象にはなりません。同様に、会社都合でシフトがカットされた日も、労働者側の欠勤にはあたりません。
有給休暇は労働者からの申請によって取得するのが原則です。事前に有給として申請していなかった場合、会社が自動的に有給に振り替える義務はありません。ただし、事後でも「あの日を有給にしてほしい」と申請を認める職場もあります。まずは上司や人事担当に相談してみてください。なお、有給の条件や申請方法について詳しくは、本記事の「有給休暇が使えるなら給料は減らない」の節で紹介している関連記事を参考にしてください。
この節の参考データ
- e-Gov「労働基準法 第24条」 — 賃金全額払いの原則
- e-Gov「労働基準法 第91条」 — 減給制裁の上限規定
関連記事
欠勤控除と合わせて確認しておきたい、パート・アルバイトの給与計算や労働条件に関する記事を紹介します。
まとめ
この記事のポイントを振り返りましょう。
- 時給制パートの欠勤は「働かなかった時間 × 時給」がそのまま収入減になる。特別な控除計算は不要
- 月給制パートの欠勤控除は「月給 ÷ 所定労働日数 × 欠勤日数」で計算される。遅刻・早退は時間単位で按分
- 遅刻の端数は原則1分単位で計算するのが基本。15分単位や30分単位での切り上げ控除は、賃金全額払いの原則に反するおそれがある
- 有給休暇が残っていれば、欠勤ではなく有給に振り替えることで給料を減らさずに休める
- 給与明細は勤怠欄の時間から確認する。時給制なら「総労働時間 × 時給」、月給制なら控除額の計算根拠を照合する
「欠勤控除」という言葉は少し堅く聞こえますが、時給制パートの場合はとてもシンプルな仕組みです。大切なのは、休んだときに自分の給料がどう計算されているかを理解しておくこと。もし明細の金額に違和感を覚えたら、休憩時間のルールや残業代の計算方法も含めて、自分の労働条件を一度整理してみてください。
参考データ一覧
- e-Gov「民法 第624条」 — 報酬の支払時期(ノーワーク・ノーペイの原則の根拠)
- e-Gov「労働基準法 第24条」 — 賃金全額払いの原則
- e-Gov「労働基準法 第39条」 — 年次有給休暇の付与条件の根拠条文
- e-Gov「労働基準法 第91条」 — 減給制裁の上限規定(1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1)
- 愛知労働局「賃金の端数の取扱いについて」 — 昭和63年3月14日基発第150号(割増賃金計算における端数処理の根拠通達)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナー」 — 労働条件に関する無料相談窓口
欠勤や遅刻があった月の収入目安も、時給計ちゃんなら時給と勤務時間を入力するだけで計算できます。